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d0000995_1657863.jpg1969年、少女週刊誌マーガレットにあるミステリー漫画が連載されました。
姉が読んでいたその雑誌で偶然目にしたその漫画のストーリに惹かれ、姉が毎号買ってくるのを楽しみにしていました。最終回近くの雑誌を姉は買わなかったので、結局私はその話がどのような結末になったのかわかりませんでした。

その漫画というのは丘けいこの「わたしはだれ?」という漫画です。丘けいこにとってはマイナーな作品だったのでしょうか、あまり知られていないようです。しかし私にはとても強い印象を与え、丘けいこというと「わたしはだれ?」が一番最初に思い浮かぶほどです。
漫画が連載中は「原作だれそれ」とかは書いてなかったので私は丘けいこのオリジナル作品だと思っていましたが、後にこの漫画は実は「シンデレラの罠」という推理小説を元に描かれたものだと知りました。
漫画では結末を読む事が出来ず、どのような結末になるのかわからなかったので、ぜひ原作を読んでみたいとその頃から思っていましたが、今のように簡単に本を検索したりすることが出来ない時代。本屋でその本を見かけることは無く、しだいに記憶からは消えていきました。しかし大学生の頃、偶然書店でこの文庫本を見つけました。そのときの喜び様は無かったと思います。これでやっと結末がわかると思いました。

d0000995_1637969.jpg作者はセバスチャン・ジャプリゾ (Sebastien Japrisot)というフランスの作家でした。ごらんのようにこの文庫本のカバーはこの小説の映画版の写真が使われていて、私は本を読んだあとは映画版にも興味を持ちましたが、テレビで放映されることも無く、映画についての情報も得られず、いまだ見たこともありません。インタネットでこの映画を検索したところによると1965年にフランスで製作され、日本では1968年に東和が配給し公開されたようです。ビデオ化もされていないようで現状ではこの映画を見ることは不可能なようです。丘けいこの漫画が1969年に発表されたということは彼女は多分この映画を見て、作品にすることにしたのでしょうね。

さて、推理小説「シンデレラの罠」の面白さはその発想でしょう。
この小説の宣伝文として次のような謳い文句がフランスでは使われたと言います。

『私がこれから物語る事件は巧妙に仕組まれた殺人事件です。
私はその事件で探偵です。
また証人です。 
また被害者です。
そのうえ犯人なのです。
私はその4人の全部なのです。
いったい私は何者でしょう。』

どうです?推理小説の読者を誘惑する文でしょう。
一人の主人公が一人四役を演ずるとはどういうことなのか?
こういう設定が可能であるのか?
その設定を可能にしたこの作家の腕がこの小説で堪能できるでしょう。

推理小説なのであえて内容についてはあまりふれないようにしました。興味のある人は読んでみて下さい。なお、現在創元推理文庫から出ている文庫版のカバーがページの一番上にあるものです。
by Marrrsan | 2005-08-15 16:58 | ・懐古的本棚 | Trackback | Comments(4)