ほたるの墓 野坂昭如 /吉森みきを
2007年 12月 21日
「ほたるの墓」というと、ジブリのアニメ版「火垂の墓」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、ここで私が取り上げるのは、アニメより20年位前に発表された漫画「ほたるの墓」です。原作は野坂昭如で、漫画を吉森みきをが描いています。この漫画は1969年少女月刊誌「りぼん」の付録として描かれました。当時妹が、「りぼん」を買っていて漫画好きの私は妹のいないときを狙って読んでいました。
野坂昭如というとテレビなどで見かける不良中年と言うイメージがあり、こんな感動的な漫画の原作を本当に書いたのだろうかと、疑いました。
テレビでも何度かアニメは放送されたので、ストーリーは知っている人が多いと思います。
戦時中の兄と幼い妹の話で、野坂の体験をもとに書かれた話です。兄として妹を助けられなかった贖罪と鎮魂の気持ちで書いたといわれています。
非常に悲しく救いのない話ですが、15歳の私はこの漫画に非常に感動しました。何回読んでも、泣けてきました。この作品によって吉森みきをと言う漫画家も好きになりました。この漫画が「ほたるの墓」との出会いなので私にとってはアニメ版やドラマ版より強く印象に残っています。
現在この漫画は「ほるぷ平和漫画シリーズ」として図書館などにも置いてあるようです。シリーズの「焼跡のうた」と題した巻に収録されているとのこと。
ちなみに野坂の孫娘が「『火垂の墓』の作者は、どういう気持ちでこの物語を書いたでしょうか。」と言う宿題を学校から出された時、野坂は孫娘に当時を振り返り、何本もの仕事を抱えて、締め切りに追われていて雑誌の担当者からのプレッシャーに地獄のような日々だったので
「締め切りの追われ、ヒィヒィ言いながら書いた。」と答えたそうです。
確かにねぇ~。でも、名作を残す方はそういう状況でも名作を残されるのですね。
ところで、名作が学校でのテストに取り上げられても
その作品の実際の作者がそのテストを受けても良い点を取れるとは限らないそうですね(笑)
>その作品の実際の作者がそのテストを受けても良い点を取れるとは限らないそうですね(笑)
つまりテストの出題者と作家の意図は違うと言うことなんでしょうかね。
でもそれは、文学はいろいろな解釈があると言う証拠にもなりますね。
でもそれでは正解は無いような感じがしますから、国語は難しい学科かも。