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加賀乙彦  「あの笑いこけた日々」

加賀乙彦  「あの笑いこけた日々」_d0000995_1712842.jpg   「フランドルの冬」を読んで以来、加賀乙彦のファンになりました。彼の作品は硬いものが多いのですが、これは本のタイトルが物語っているように、「比較的気軽に読める文章を集めた」初の随筆集です。ほとんどのものが1968年から1974年の間に主に新聞に発表されたエッセイです。
   加賀の子供の頃の思い出、フランス留学時代、文学、音楽、現代の風潮といったものを軽く読みやすく書いてあり、親しみがもてます。この随筆集を読みさらに彼の作品のファンになっていきました。留学時代のエッセイでは「フランドルの冬」に登場するフランス人家族のモデルとなった家族の話なども出てきて、興味深く読めました。
   彼の小説や論評集では見られない加賀の素顔を見ることができるような感じがします。彼自身、こういった酒、音楽、旅、お菓子など気軽な話題を書くことは楽しいようでそんな彼の心情もよく伝わってきます。

昭和50年2月28日初版発行  角川書店
by Marrrsan | 2005-04-24 17:39 | ・懐古的本棚 | Trackback | Comments(0)