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私が「詩」?・・・似合わない!

昔、主に大学時代日記のように毎日詩あるいは詩もどきのものを書いていました。
今読むと非常に恥ずかしいものばかり。
根暗だった当時、絶望とか苦悩とかそういうことを言っているものが多いようです。

高校の国語に出ていた西脇順三郎のシュールリアリズムの詩にひかれ、それを周到したような
詩を書くのが好きでした。また、わざと古い仮名遣いを使うということも良くやりました。
非常に恥ずかしいのですが、おもいきってブログに載せてみようかと
大それた大胆なこと決心。恥ずかしさのあまりあるいは反響のなさにすぐ削除するかもしれませんが、「青春の恥」というカテゴリーで私が20代前半に書いた文を載せてみようと思います。
まず最初はちょっとは自分でも自己満足でこれならと思うものを。
そんなもん読みたくないという人はここで終わりにしてください。



こうしてゐる自分

時は止まった
風鈴の音だけが
喜びを歌いながら
過ぎてゆく夏を
見送っているようだ
久しぶりの青空
目のくらむ蒼さ
秋の悲しみを
もうみなぎらせて
張りつめてゐるではないか
ものうい日のひかり
山吹色を反映しながら
人々の心の隅に
かすかな憂いを
植え込みながら
優しくなだらかに
充満してゐる
彩られた世界の総ては
今不思議に
凝縮していくようだ
たちこめてくる霧のように
不安が揺れて
内向していゆく理想に
追い討ちをかけるように
暗い影が
前方に立ちふさがる
指差す彼方を
暗黒に染めて
忍び寄ってくる或る面影
いつもいつも
そばにいて
見透かすように
あざ笑いをもらしていた悪魔(デーモン)
それは時に美しく
時にそれはあわれな死
羽をのばし
この地より
遥かな異国へと
飛翔していきたい
本当に
自由というものがあるのならば・・・・
幻よ
この実存さえも
結局は虚妄なのではないのか
揺れ動く思いに
心と身体は
その行方をさえぎられ
とまどいの中に
ちぎれてゆきながら
一日一日の時の流れの
かすかな響きに
埋もれてゆくようだ
例えば昨日を
恐る恐る振り返ってみよう
その右眼だけを
うっすらとあけて
出来たての思い出は
まだ苦さを含み
昼下がりのもう憂さのように
頼りなげに漂っている
云いようのない
悲劇
断腸の思いには
まだ少し
手が届かないかも入れないけれど
やっぱり
仄暗さをその中に
なんとなく感じてしまう
ああ人生
この遅々とした歩み
そしてその速さに
平凡な日々ばかりだけど
なんと目まぐるしい
かすかな隙さえ
見のがすことなく
冷酷無比に
駆けぬけてゆく時間よ
その堆積
唯 息切れしながら
めまいを感じ
その場に
そっと腰をおろすことしか
あわれな人間にはできない
愛しい日々よ
懐かしい日々よ
優しさを
豊かにたたえながら
季節の
変わり目のような
淋しさを
どうぞ与えてください
涙を流すような
無様さを
卑俗な笑みを浮べている
彼等にも
味あわせてやってくれ
この残酷な思い上がりよ
報復を待っているように
黄昏時の
明るさの中で
静かに縊死をとげろ
そして見知らぬ
異形の人たちの
読経のようなそしりのうちに
流れ去ってしまえ
いくら待っても
訪れては来ない
幼い日々の希望
誰が叶えてくれるのですか
ずうっと
待っているというのに
こんなに
首を長くして・・・・・・
裏切りに充ちた社会よ
おまえの遺しに
ツバをはきかけて
立ち去ってゆきたい
けれど
巨大な無形の力に
押しつぶされていくのがオチ
突然
虫のすだき
秋の気配を再認識して
耳を澄まし
その音色に聞き入るとき
今日までの不毛と
明日からの絶望に
頭を砕くような
偏頭痛
いやすことの出来ない
陰惨な生存に
悲しい口笛は
寝静まった田舎の
うら淋しい夜の帳を
少しずつ
逆なでしながら
澪漂を求めるように
ゆったりと
精霊のように翔けぬけてゆく
この空間を渡る時よ
とりとめのないお前は
能面のような
不気味な容貌で
音もたてずすり抜けてゆく
茫然自失するだけの我等
だけど歯軋りしながら
ささやかに罵倒するだけの
気力は残っている
今悲しみを追い越し
苦痛を含んだ微笑を
なんとか身に付けて
重い
他人には不可解な
桎梏を実存の根底に
結びつけ
深夜のどよめきと
捨てきることのできない
淡い
憧憬の一部分を
その右手の小指に
わずかながら
ひっかけて
狼の遠吠えのような
魂に
しみこんでくる泣き声を
忍びもらしながら
うわべでは
恥じらいを優しさめいた笑顔のまま
毎日毎日後悔に包まれ
生息を続けている
そんな一見みじめな自分の姿を
脳裏に浮べながらも
ひき続き
うつろな歩みをくり返しながら
こうしてゐる自分

昭和52年9月4日作
Commented by rococo at 2005-08-30 11:42 x
お~、やっぱり一度消されたのですね(^_^;)
読みながら、なにか、どうしても映像が浮かびます。
ニヒルな男が宿命を背負って、いずこへか遠ざかるシーン。
このタッチ・・・そうそうコンテで粗く描いた感じの、このヒーロー・・・ゴルゴ13とか、そんな雰囲気でしょうか・・・もちろん青年marrrsanに違いないのですが。

Commented by lanova at 2005-08-30 14:05
Wow!長編ですね。というより大作ですね。実はある時期まで私の本棚は詩集ばかりでした。卒論も中原中也だったんですよ(汗)。
Commented by Marrrsan at 2005-08-31 15:17
●rococoさん
はい、やはり少し恥ずかしいので、非公開にしておきましたが
チャット仲間に感想を聞いたらそう悪くないといわれ、調子に乗って再公開としました。
ゴルゴ13ですか・・・・

●novaさん
とうことはnovaさんは国文科ですね。
こりゃ、恥ずかしいですね。
調子に乗ってあまり載せられない。
by Marrrsan | 2005-08-29 16:11 | ・青春の恥 | Trackback | Comments(3)