渡辺淳一 「花埋み」

d0000995_17354499.jpg  日本で女医と言うとまず頭に浮べるのが「オランダおいね」と呼ばれたシーボルトの娘 イネ の事ではないでしょうか。「日本最初の女医」とか言われたりすることもあります。しかし正式な日本初の女医、つまり政府から医師の免許を取得して医師として開業し医療を施していたのはオランダおいねではありません。

荻野吟子が正式な日本第1号の女医と言うことになります。しかし日本第1号と言う冠がありながらこの荻野吟子と言う人についてはあまり知られていませんし、日本の歴史の教科書でもふれられる事は余りありません。医師として働いていた作家渡辺淳一はこの事に疑問を持ち荻野吟子の事を調べだしたと言うことです。そしてやがて書かれたのが荻野吟子を主人公とした伝記小説「花埋み」です。

出版当時ベストセラーになった作品だと思います。1971年にNETの「ポーラ名作劇場」でTVドラマ化されています。吟子役を演じたのは大空真弓でした。これ以前、実は私は妹が買ってきた少女雑誌に掲載された漫画版を読んでいました。はっきりした記憶ではないのですが、この漫画版がきっかけで小説を読んだのだと思います。そしてテレビドラマも見ましたが、小説の面白さをどちらも充分には表現できていなかったと思いました。

d0000995_1736069.jpg簡単なあらすじを紹介すると
吟子は18歳で結婚をします。しかし遊び好きの夫から淋病をうつされ、子供が出来ない体となり離縁されてしまいます。淋病に苦しみながら治療を受けていたとき、男の医師に女性の大事な部分を診察されることに恥ずかしさを感じた吟子は医師が女性であれば精神的に楽だったと思い、女医になろうと決心します。しかし明治の男性優位の時代に女性が医学を学ぶと言うのはほとんど不可能に近いことでした。しかし数々の障害を乗り越え、彼女は正式な女医第1号となります。ある意味野口英世に匹敵するような人と言う感じで、偉人伝に出てきそうなくらいの努力を成し遂げた人なのに歴史の中に埋もれてしまいます。

事実を元にしていますが「伝記小説」と呼ばれている作品なので実際の事実とどれくらい近いものかはわかりませんが、事実に近いとすれば私は吟子の勉学に対する執念には驚かされました。エンターテーメント性のある中間小説として読むのをやめるのが難しくなるくらいどんどん読み進みたくなるような面白い小説だったと記憶しています。
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by Marrrsan | 2006-04-27 18:06 | ・懐古的本棚 | Trackback | Comments(6)
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Commented by ミシガン子 at 2006-04-27 22:49 x
私その少女漫画、家では姉貴のを借りて読んだ記憶があります。
確か、その女性は医学校には女性用トイレが無くて男性トイレに入ると冷やかされて嫌な思いをしたのでトイレに行かないよう朝から水分を取らないで頑張ったとか、、、そんなエピソードも交えた内容だったような、、、、。
違ったかしらね。

Commented by Marrrsan at 2006-04-28 12:00
●ミシガン子さん
そう、ですね、その漫画ですね。
とにかく当時は女性が学問しかも医学を学ぶと言うのはとんでもないことでかなりの嫌がらせがあったようです。
Commented by lanova at 2006-04-28 13:37
母が渡辺淳一の大ファンで、全集も揃えていたし、この本も読んでいました。私が小学校の頃だったんではないでしょうか。ちょっとねっとりしているかなという印象でいまだに読まずじまいです。帰国したときにでも母の本棚から取り出してみましょう。
Commented by Marrrsan at 2006-04-28 14:05
●novaさん
すらすら楽に読める娯楽小説と言う感じが私はします。
読み出すとやめられなくなりますね。
Commented by flyingshack at 2006-04-28 22:32
北海道の今金町というところを通ると、「日本第一号女医荻野吟子ゆかりの地」みたいな看板があるので、なんとなーく知っていました。なにしろ札幌は渡辺淳一氏のお膝元でもありますし。

そういえば、北大医学部でもちょっと前は女子のトイレだけ奇数階のみみたいな建物もありましたね。今ずいぶん違うと思いますが。
Commented by Marrrsan at 2006-04-30 08:56
●flyingshackさん
本によると吟子は若い男と北海道に駆け落ちしたことになっていますね。
そういった私的なことがスキャンダルとして彼女は歴史に埋もれたようですね。

そうでしたね、渡辺淳一は北海道でした。彼の作品一時好きで集中して何作か読みました。